反響

 これは「とうめいなさら」に載っている余白シリーズの二次創作というべきものなので、下のリンクからそちらを先にお読みくださるとたすかります。 
余白:音の色





 どう?最近の私たのしそうでしょ?うん。実際たのしい。そう。その子。ああ、「子」とか言ったらよくないね。でもそれがいちばんしっくりくるからそう呼ばせてよ。だって「あの人」とか「彼女」とかおかしいでしょ。誰か関係の薄い人と話してるなら別だけど。もちろんあの子に直接言ったりもしないよ。でしょう?だからあの子と呼ばせて。だめ?……ありがと。いや、お礼を言うのもおかしいか。

 それでね、あの子やっぱりちょっとめずらしいのよ。そりゃ私だってそんなにたくさんの人を見たわけじゃないけど、それなりにこれまでいろんな人がいたよ。知ってるくせに。うん。そうそう。ああ、そんな人もいたね。何やってるんだろうね。元気だといいね。話がずれてる。あの子の話がしたいの。あの子ほどこちらをまっすぐ見てくる人これまでいなかったでしょ?ちがうよ。そうじゃなくて。聞いてなかったの?あの子「何を見てるの」って質問したんだよ。思い出した?よかった。ねー。そうだよね。そこ気にするのかって思うよね。あー、思い出した。その時それでちょっと逃げたんだったね。怒らないでよ。ただのいじわるじゃない。

 とにかくまっすぐだから気持ちがいいのはあるよね。それでただまっすぐなだけじゃないから。こんなにえらそうなことを考えていていいのかと思うよ。思うけど、あるものはあるんだから。いや、それはまた今度にしてよ。またそのうち。うん。ごめんね。だからつまり、生きている人間との会話が質量をもたらすということなんだって。そうしないと戻れなくなるって言ったのはそっちだったはずでしょう?そうそう。だからうれしいのもあるよ。やめてよ。何?まださっきのこと気にしてるの?相変わらずだね。
 うん。続けるよ。まだしばらく。気になるもの。あーもう。またそうやって飛ばす。そこなんとかしようって話だったじゃない。わかるよ。それはありがとうと思うよ。でもそれわからないでしょ?ええ。ええ。いえ。うん。まあもうちょっと待っててよ。たぶんちょっとで済むから。たのしみにしてていいよ。

 それで、これからどうする?

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