月桃

一番よく行くスーパーマーケットは
すべてのものが安く売られていて、
品質も劣っているとは思えないので贔屓にしています。
実際にどのくらいの廉価販売をしているのか知りませんが
自分の懐と折り合いがつきやすい数字が並んでいるので
安いのだと信じることにしています。
意図的な盲信にも生活のたのしみを感じられます。

マンゴーがふたつで150円になっていたので飛びつきました。
いわゆる見切り品というもので、
「今日中に食べなさい」とありましたが
格段の緊急性は感じられませんでした。
マンゴーの味というものは
食べたときにはたしかにこれはマンゴー味だとしか思えないのですが、
食べていないときに思い出そうとすると何も掴めないものです。

そういうものが破格で、ふたつも手に入ったので、
帰り道ではマンゴーとその値段について
いろんなものと関連付けて考えていました。
もうあまり復元できませんが、
円の価値とかフロンガスとかアメリカとかにつなげていた気がします。

マンゴーもそれを食べる機もいまひとつ熟していないように感じられたので、
冷蔵庫にしまいました。
その頃には思考がだいぶ沈殿していて、
単に珍しい果物が安く買えてうれしいだけであることがわかりました。
うれしいだけだったのです。

コメント

人気の投稿