朝潮

胡瓜を食べてお腹の中が夏になったので
身体の外側も夏にして平仄を合わせようと思って
田んぼと畑の中の道を走りました。

別に体内が夏でない日にも
何のあてもなくその道を進む癖がついていますので、
景色は見慣れたもののはずです。
ところが実際には通るたびに新しい気持ちになります。
きっと草や木が姿を変えるからでしょう。

いい気分で土や鶏などのにおいを吸っていました。
首をまわすと一面にふさふさの緑で、
いつの間にか伸びた稲が田んぼをそのように仕立てた
と気づくのにいくらか時間が必要でした。

清潔な緑で満ちた畔を
四、五人の小学生が歩いていました。
ランドセルを背負って、
ふらふら、ゆらゆら
ひとかたまりになって浮かんでいました。
深い緑の山と浅い緑の田んぼの間にふさわしいのは
彼らのほかにはちょっと思いつきません。

コメント

人気の投稿