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桜の花がきらいでした。 だいたい春というものがきらいで、 だから桜もきらいなのだと思っていました。 それでも鶯の声や、幼い緑や、まろい空気なんかは やっぱり触れると穏やかなものがあって、 それらも春の一部なので、 春がきらいだから桜花もきらいというのは速断でありましょう。 この問題を追いかけると 春というものを分解して分別して管理することになりそうなので やめます。 とにかく私は桜の花がきらいなのでした。 何がどうきらいなのか考えるのもいやでした。 それは好きになる努力につながるはずなのでやりたくありません。 ただなんとなくきらいで、 それだけにやたらときらっていたのです。 妙に人気のない道を歩いていると、 ふらふら降ってくるものがあって、 つい「きれいだ」と直感しました。 言い逃れができません。 桜の花の散る姿がうつくしかったのです。 桜の花は散る時だけうつくしかったのです。

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